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【映画レビュー】ファウンド【Netflix 11】

【ネタバレなし・あらすじ&感想】

 人は誰もが人には言えない秘密を持っている。僕の趣味は人の秘密をのぞくこと。僕の秘密はみんなの秘密を知っていることだ。パパは裸の女の人が映っているたくさんの写真集、ママは昔に恋人からもらったラブレター、そして、お兄ちゃんはクローゼットに生首。もしお兄ちゃんの秘密を知っていることがバレたら、きっと僕はただでは済まないと思う。

 主人公はホラー映画を観ることが趣味の内向的で内気ないじめられっこ・マーティ。ただひとりの親友は同じホラー映画好きの子だけ。マーティは人の秘密をのぞきつつ学校ではいじめられながらもホラー映画をみてなんとか日常をやりすごしてきた。しかし、その日常もちょっとした短慮から終わってしまう。

 終始アンニュイな雰囲気で物語がゆっくり進行する。ゆっくり進行しすぎて終始ハラハラしっぱなしである。身内が殺人鬼という難しい問題を幼いがゆえに現実的に対処できないマーティくん。語りが11歳であるために、あらゆることが彼の主観で話されるため、最初から最後まで謎なことがあるが、それもまたなんとなく雰囲気にあう。

 切なく歪んだ兄弟愛にちょっとうるっとしつつ、最後はなかなかハードな終わり方で、人によってはカタルシス抜群という噂。

 無名の俳優、無名の監督で、超低予算ながら大ヒットしたことで有名。

 個人的には好きだし、レンタル落ちじゃないDVDがほしいところだが、これは他人にすすめるもんじゃない。嬉々として勧める奴はちょっとやばいやつだ。

オススメ度☆★★★★★★★★

 

【ネタバレ含む感想】

 マーティくんの行動のすべてが子どもらしくてほほえましい。兄貴のクローゼットに生首を見つけても警察に通報しないで黙ってしまう短慮さとか、そのくせ定期的に確認しちゃう好奇心とか、いじめっこや理不尽な先生に対処できないとか、弱虫よばわりされてカッとなって兄貴の生首みせちゃうとことか、兄貴にあとで話そうといわれたのに怖くて父と映画に出かけちゃうとことか、家に帰りたくなくていつもの場所でたそがれちゃうとことか、兄貴がやってきて思わず超にげちゃうとことか。マーティくんがかわいい映画だ。

 あと、ときどき差し込まれる兄弟愛の描写がすごくいい。最初は弟でもお触り厳禁な兄貴かと思ったけど(生首隠し持ってるし)、物語が進んでいくと弟のマーティくんには優しいことがわかる。いじめられてるマーティくんの悩みをきいてあげたり、兄貴らしくアドバイスしたり、アドバイスするだけじゃなくいじめっこを始末してちゃっかり生首コレクションに追加したり、落ち込むマーティくんにホラー映画コレクションから好きに持って行って観てもいいっていってくれたり。あと、何気にいつもマーティ君が遊びにいくところも把握しているし。スクラップ置き場で兄弟の激しい追跡劇が行われたときはすっごくハラハラした。まさに「今、兄貴に捕まったら殺される!!!」みたいな緊迫感があって、そこからの、草原で弟を捕まえての第一声と返答が

「俺の部屋に入るなっていったろう!」

「ごめん」

である。割とリアルっぽいけど間の抜けた会話だ。殺人犯と殺人の目撃者っぽくない。なんだか動揺がうまく表わされているようで、割とこのやりとりが好きだ。

 そこから発展して

「俺は弟を傷つけたりはしない」

「いじめっこを殺してくれてありがとう」

とか言って抱きしめ合うシーンは、セリフはさておきかなり美しい。もはや彼らが歪んでいるのは明白だが、彼らが歪んだのは彼らを取り巻く世界が歪んでいるからだ。なんかもう仕方ない。

 最後に兄貴は人格崩壊して家庭も崩壊してしまうわけだが、この兄弟愛をのぞくためだけに観る価値はある。ただし、最後がマックスグロイ。まあ、途中もホラー映画がグロイけど。グロイけど、肝心のシーンは縛られたマーティくんのアップと、別室から聞こえてくる悲鳴と効果音だけなのでそこまででもない。予算削減効果もあるけど、マーティくんの視点というのを徹底しているともいえる。

 ところで、マーティくんの話だと、被害者は主に黒人の女性、時々男性、一度だけ白人の男性だったことがあるそうだ。少なくとも4人犠牲になっており、主に・ときどきとつくからには頻度に差がある。全く根拠のない想像でしかないけど、マーティくんの同級生も含めて8人くらいは近辺で犠牲になっているようだ。すごい事件だと思うけど、マーティくんの視点だと事件が起こっていない。かなりうまく兄貴が処理しているのだろうか。謎である。

 最後、彼はちゃんと脱出できただろうか。そもそも彼が登校してこないところで、誰も問題にはしないと思う。普段から不登校気味だし。お父さんとお母さんの職場の人が頼りだね。どっちかが出勤してこないし、電話にも出ないし、どうしたのかしら、と尋ねてきてくれればマーティくんは無事生還できるだろう。そうでなければ、ベッドに縛られたままで彼は脱水症状を起こして死んでしまう。

 一番の有力な線は、血まみれ早朝散歩に出かけた兄貴が警察に逮捕されて自宅に駆け付けての救出かしら。アメリカのやり方はわからないけど、あんなやつが歩いていたら即効銃を向けて「フリーズ!!!」して、そんで兄貴はあのとおりのぶっ壊れぶりだから、フリーズなんかしないし、なんなら抵抗してナイフを振り回すので銃でうたれてアボン。すると、半裸なので身元調査に時間がかかって、結果マーティくんの救出が遅れる……。運が良くないとマーティくんは生き残れない。生き残れたとしても精神崩壊待ったなし。自分でも狂ってしまうよ、と言っていたことだし。

 フィクションだけど、早めの救出を願う。

 何度も言うが、人にはオススメできない作品だ。DVDほしい。