映画「時をかける少女」のなかのクラシック~バッハのゴールトベルク変奏曲~【クラシック音楽紹介①】
映画を観ているとときどきクラシック音楽に遭遇することがある。知識がない間はそのBGMは映画のオリジナル楽曲かと思ってしまう。けれども、ある日、ひょんなことからそれは有名なクラシック音楽だとわかることがある。
そんなとき、自分にとっては遠い存在だったクラシック音楽が一気に身近になり、全く興味の湧かないクラシックが少しだけ惹かれる存在になる。
気がついた分だけ紹介しようと思う。
今回はバッハのゴールトベルク変奏曲
(J.S. Bach, 1741, Goldberg-Variationen)
バッハ/ゴルトベルク変奏曲より アリアBWV988/演奏:園田高弘
澄んだピアノの旋律が印象的な曲で、「時をかける少女」の中では放課後の描写とあいまってなんだか寂しい印象を抱いていたこの曲。
バッハの説明は長くなるからさておき、ゴルトベルク変奏曲という名前。
ゴルトベルクというのは、バッハに作曲を依頼した貴族の専属の演奏者の名前と言われています。
当時不眠症に悩まされていた貴族は、バッハに頼んで眠るのによい曲を作曲してもらいました。そして、毎晩ゴルトベルクさんに生演奏してもらいながら眠りについたそうです。だから、ついた名前がゴルトベルク。ゴルトベルクには夜眠る権利はないみたい。
ちなみにこの逸話、ガセだと言われています。なぜならば、バッハは貴族に依頼されて作曲した場合には、出版した楽譜の表紙にその旨を必ず書いていたそうですが、このゴルトベルク変奏曲の表紙には依頼されて書いたとは書かれていないからです。
そして、変奏曲。これは、一つの旋律をあの手この手で曲調を変えながら演奏し続けるらしいいです。その変奏曲でもっとも有名なのが「キラキラ星」だとか。キラキラ星が有名といわれても、キラキラ星のバージョンなんてひとつしか知りませんが。
現代的なたとえをすると「もののけ姫」通常版、ジャズ版、民謡版、演歌版、ユーロビート版、デスメタル版、ラップ版を作ってひとそろいの曲集にすれば、もののけ姫変奏曲とでもなるのでしょうか。なぜもののけ姫が出てきたかと言うと、直近の金曜ロードショーでもののけ姫が放送されていたからです。
さらには、アリア。これは輪唱というか追いかけっこみたいなもので、同じ旋律を右手と左手がずれて演奏することらしいです。代表的なのが「カエルの歌」。小学校のころよく歌わされた歌でいうと「もみじ」ですかね。
あーきのゆーうーひーにー てーるうやーまーもーみいじー
あーきのゆーうーひーにー てーるうやーまーもーみいじ
タイムリープの力を手に入れたまことが何度も何度も同じ時間を繰り返していることに似ていますね。
肝心の「時をかける少女」では、放課後、ノートを回収して化学室に届けに来た場面で流れていました。放課後の静謐さ、寂しさが表れていたと思います。
そして、タイムループをした場面でちょうど調子が変わってチャカチャカとなんだか楽しい感じがしてくる。
バッハの曲は宇宙の真理や法則が表されていると言われています。未来人も現代人には理解の及ばない物理法則と宇宙の真理を理解して時を飛び越えてやってきたのでしょうか。
ゴルトベルクの最後は最初と同じ旋律に戻ってきます。たしか。それも、劇中でまことが結局最初の日に戻ってくるのと同じですね、
あんまりクラシックの解釈は得意ではありません。
とにかく、なんかこの曲は好きです。