泡沫アフィブログby牛乳うまい

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【映画レビュー】肉 we are what we eat【Netflix 13】

 Netflix仲間である職場の同僚にオススメされて観た肉。なんとも言い難い作品でした。

 あらすじは以下のようなかんじ。

 郊外の片田舎に住む一家の母親が突然亡くなってしまった。どれくらい片田舎かっていうと、肉屋の主人が客の名前を覚えているくらい田舎。ちなみに、持病の症状が発症して転倒からの頭打って水たまりにインなので、正直どれが死因かわからない。その一家にはある伝統があり母親には特別な役割があったが、母親が急死してしまったので、一家の長女おそらく19歳が引き継ぐことになった。その役割とは、人間を解体することだった。

 終始、アンニュイというか閉塞感ただよう空気感で進んでいく。夏の日差しもなんだかくすんでいるみたい。物語はちょっとヤバめな親父と伝統と役割に怯えてすくむ長女・次女、何も知らない弟を中心に進んでいく。この姉妹が儚げで美しい。どこか病んでいる感じが危うさを醸し出して妖艶だ。とくに妹のローズは、アダムスファミリーのウェンズデーみたいだ。

 あと、愛情たっぷりの狂った親父がやばい怖い。すっごくハートフル親父なんだけど、必要な時にはハートフルではなく、あきらかにミスマッチな場面でハートフルな感じなのでさらにやばい。もはやわけわからん。

 このやばい親父は信心深い。聖書の一節をやすやすとそらんじる。でもやってることが私の思っていたキリスト教と違うから、信仰のかたちってひとそれぞれだねって思うね。それから吹き替えは親父がやたらいい声。

 さて、この一家は一体どうなってしまうのか、ハラハラドキドキがとまらない!

オススメ度は☆☆★★★★★★!!!

なんか暗い気分になりたいときに観るべし!!

 amazonには字幕版しかなかったや。

 

【ネタバレありの感想】

 開拓時代あたりからここらへんに住んでる一家の伝統は人肉食!!1700年代から続けてるっていうからもう相当長いよね!!よくもまあバレずに続いたもんだ。ちなみに、食べるペースはおそらく1年に1人くらい。そして解体するのは一家の母親、もしくは母がいない場合には長女などなど、家をつぐ女性のようだ。

 話の流れはわかりやすい。

 一家の人肉食の伝統を守ってきた母親が急死したことによって、家族のひずみが一気に大きくなり、どうにか体裁を保とうとして伝統行事を実行するが、やがては家庭崩壊に至る。その間に、一家の長女に恋した保安官補が殺されたり、一家に親切にした隣人が殺されたり、一家を怪しんで乗り込んだ医者が殺されたりするだけの話だ。ちなみにやったの全部親父。家庭崩壊して父親の支配から解放された子どもたちは心機一転人生をやり直すために別の町へ向かう。それだけの話だ。

 そもそも、一家が移り住んできた時、とんでもない食糧不足に陥った末、父が叔父を殺したことから始まったらしい。そんでさらにもう一人どっかで捕まえてきた女性(もしかして、叔母?)を父が調理しているうちに精神に異常をきたしはじめたので、その父の苦しみをかわって引き受ける目的で長女が女性を解体したのが始まり。それ以来、1年に1人くらい、若い女性をさらってきては「子羊の日」と称して解体して食することを何百年と続けてきたらしい。大した伝統だ。

 この子羊の日より3日前から断食を始める。穀物、肉、果実を絶ち、お茶と牛乳と水以外を摂らずに過ごす。飢餓の追体験の意味もあるし、腹が減ってりゃなんでもうまく感じるだろう。とにかくダメな伝統だ。

 ついでにこの一家は信心深い一面がある。自らの行いを神の命令・意志による行為であるとすり替えることによって罪意識から逃れようとしてきたのだろう。よくできてる。神の意志のもとに行ったと正当化しなければ生きていけない。っていうか、そもそもこの人たちはどうやって家が続いてきたのかな。そうそう人肉食を受け入れてくれる配偶者が見つかるとは思えない……。

 ついでに言えば、脳みそもご丁寧に食していたようで、父も母もクールー病に冒されている。姉妹および弟もキャリアである可能性がある。発症には個人差が大きいけど。

 親父は楽でいいよな。伝統だ伝統だといって音頭をとってみても、実際に手を下すのは長女だもん。その間自分はひげをそって髪を整えて正装して、弟と着替えさせてスタンバイ。これほど簡単な仕事はないな。まあ、食料調達という重要な役目を負っているが。これが何気に一番重要か。調達する場面を誰かにみられたら一発アウトだからな。ことによるとこの親父、30年近くうまくやってきたらしい。恐ろしいことだ。

 何気にびっくりしたのが、長女と恋する保安官補だ。家にやってきて、二人で森をハイキングして、髪に花を差そうとする。殺人を犯していた長女は「こんな花自分には似合わない。私はそんな女じゃないの」なんて拒否したら「君は素敵な子だよ。好きだよ」なんていって口説き、泣きだした長女を抱きしめる。二人はいい感じになってキスをする。なんてさわやかな恋なのかしら、80年代ってこんな雰囲気なのね、なんてときめいていたら、突然長女が脱ぎだして地面に寝そべって、それに覆いかぶさる保安官補とかいうとんでも展開。えっえーっ!!!いきなりなにやってんの?! すげぇ手慣れてない? お互いに。びっくらこいたで。これがアメリカンなん? そこらへんアメリカンのティーンズラブに詳しい人に聞いてみたいわ。そんで勢いよく昇っていったところで保安官補は親父に頭フルスイングされて人生からログアウト。これは長女もトラウマですわ。

 その夜も楽しい人肉ディナーなわけですが、何をトチ狂ったのか親父はブラウンシチューにヒ素を混ぜ込み混ぜ込み盛る。一家心中する気か!!!親父もクールー病にやられて相当頭やばくなってるぞ。親父恐ろしい。しかし、さらに怖いのこのあとだ。

 弟がシチューを食べそうになったので次女が皿を吹っ飛ばして回避。場が凍った瞬間に、一家を怪しむ医者のお爺さんが登場。お爺さんは長女がしている髪飾りが、昔自分の娘に誕生日プレゼントとしてあげたものだと気づいて親父を問い詰める。親父は爺さんを銃で撃って撃退。それをとめた長女が被弾。次女は弟を連れて隣人宅へ逃走。

 次女と弟を匿ってくれた親切な隣人はあっけなく親父に殺される。親父は「もう大丈夫だ。心配ない。さあ、こっちへおいで」とかいうハートフル親父に変身。これがマジでハートフルなんだよね。もう優しい優しい。マジで優しい感じ醸し出してる。でも血まみれだけどね。それにほだされて弟が親父の懐に入り、次女が逃れられないと悟ってぶるぶる震えながら親父についていき、家に戻って地獄の食卓再スタート。

 親父もブルブル震えすぎてシチュー漏れてないし、長女はマジで死んだのかと疑うくらいに白くて動かないし、次女はずっと泣いてるし。ずっと泣いてる次女を慰めようと親父が次女を抱きしめる。ここらへんの愛情表現は非常に欧米人って感じするわ。それが本当に愛情深い父親が娘を慰める感じのハートフルさですごい不気味なんだよね。マジでヤバいぞこのおやじ。

 さらにやばいのが次の瞬間、次女が親父の首にかみついて唸る。長女はテーブルについた親父の手にナイフを刺す!弟はテーブルの下にもぐって難を逃れる。次女は引き続き首にかみつく。長女は腕にかみつく!

 なんかもう、急にゾンビ映画になった?みたいな錯覚を覚えるくらいにとつぜん唸りだしてかぶりついて、もう一体なにがなんだか。最初は首にかみついてダメージを与えて死に至らしめるのかと思ったけど、しっかり咀嚼してるし、なんだかんだいってその後もあちこち噛んでるし。一体なんなんだ。何があったんだ。一体どうしてそうしたんだ!!!意味わからん!今まで食われてきた少女たちの恨みを思い知れ!!!的な?

 とりあえず、脳髄脊髄は食べないようにしような!

 その後、明るい日のもとの山道をトラックで走る子どもたち3人が映っておしまい。

 そんとき、姉妹のどちらかが初代の日記(人肉食に至った理由が書かれている)を持っていた。もし本当に人肉食一家というアイデンティティを捨てるなら、それは処分してると思うので、たぶん定着した先でも人肉食続けるんじゃないですかね。

 

 いったいなにがあったんだ。誰か教えてくれー!!