マヌケな現代人 間違って死ぬ確率が100年前の約9倍
英語圏では6年間に259人がセルフィーによって死んでしまったというニュースはびっくりしましたね。足元が危うい崖っぷちでセルフィーして「あっ」と思ったら落ちていた。そんなんで死んでたまるかっ。
テクノロジーが高度に発展した現代において、人間を助けるはずのテクノロジーが逆に人間を殺す。なんという皮肉。でも、よく調べてみたら、現代人って死にやすいかもしれない。
それを調べたのがKeeney(2008)。彼によると、現代(2000年)の死者の45%は選択次第で死ななかったはず。でも、1950年では20~25%、1900年では5%。
つまり、1900年に死んだ人たちの95%は死ぬべくして死んだ!悲しいっ
でも、2000年に死ぬべくして死んだのは約55%で、残りの約45%の人は死なずに済んだかもしれないっ。セルフィーで亡くなった人たちはこの45%に含まれるね!
約9倍!
これはやばい。100年前に比べて現代人は9倍死にやすいってことかしら?
いやいやいや、医療技術が発達してるし、栄養状態も改善してるし、戦争してないし!
100年前より死にやすいとかあるわけないし!
そんじゃ、この数字、どういう死因を含んでいるんでしょうか。
まあ、セルフィーは当然として、他には?
今回はそんなことを調査した論文を読んでみました!
タイトル:Personal Decisions Are the Leading Cause of Death
個人の選択は死の原因になる
著者 :Ralph L. Keeney
雑誌 :Operations Research, Vol. 56, No. 6
https://doi.org/10.1287/opre.1080.0588
読んでみたらあら不思議。セルフィーとかそういうキャッチーな死因は含んでいなかった残念。中身はかなり真面目。
アメリカ人の年間死亡者数は240万人くらいですが、そのうち100万人はちゃんと気をつけて生活していれば死ななかったはずだ。多くの人は肥満や喫煙が人を死に至らしめていると考えているけど、違う。喫煙と肥満をもたらしたのは自分自身の選択だ。それと飲酒と交通事故と殺人と自殺。加えて薬物と性感染症。それらの統計上の数値をえいやって足して分析した結果、2000年の死亡者の44.5%が個人の選択によって死んでしまったと考えられるのだ。
たとえば、感染症。今はマスクをつけたり人の多いところに行かないようにしたり、傷ぐちから菌が入らないようにしたりできる。つまり、感染症の原因と対策が知れ渡っているので、対策しないのは個人の選択だ。2000年に感染症で死んだら、個人の選択によって死んだと言える。
ところがどっこい、1900年と言えば、感染症予防なんて知識は一般人にはあまり普及していなかった。知らないものは対策しようがない。ということで、1900年に感染症で死んだ人は個人の選択によって死んだとは言えない。
交通事故も、昔の人はシートベルトがなかったから、シートベルトの有無で個人選択権はない。今、シートベルトを締めずに事故って死んでしまったら、それは個人の選択によって死んだと言える。ただし、同じ交通事故でも巻き込まれた側は個人選択には含まれない。
また、1900年には今ほど喫煙者も肥満もいなかった。
そういうことを精査していくと、1900年は5%だった避けられる死が2000年には45%に!9倍に増加している!
諸君!これは朗報だ!つまり、全人類が適切に注意深く死なないように暮らせば、死亡率が半減する!!
って、そんなんできるかいっっ。しかも、なんかきつねにつままれたようなもやっとする感じ。こう、言いたいことは理解できるけど、感情が追いつかない。
昔は感染症で死ぬのは仕方ない。でも、今は自己責任!! はるかに感染症で死ぬ人は減ったけど自己責任だから!自己責任だから自己責任死に計上するよ!
といわれても納得しがたい。理解はできる。
まあ、あれだ。
結論!!
人類は愚かだ!!!